九州産直クラブ 社長のblog

九州産直クラブ社長 吉田登志夫の公式ブログです。九州産直クラブの商品や生産者、九州の野菜、肉、魚などの内容や、イギリスのオーガニック市場、フェアトレードなど、様々な情報をお届けします。

「死と生と」

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帝王切開手術

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子牛の誕生

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帝王切開手術後の母牛

ドリームグループ(オーガニック九州産直クラブ/ナチュラナチュラル/ロンドンナチュラルグループ)代表の吉田登志夫です。

菊池農場にあか牛飼育週末当番に入るようになってから半年が過ぎますが、農場ではいろんな「生と死」に出会います。先月は「死産」と「誕生」を同時に立ち会いました。

5月出産予定の母牛2頭を分娩用枠に入れてましたが、そのうちの1頭が「早朝に出産したようだけど子牛が見当たらない」との知らせが入り、急ぎ駆けつけました。見当たらないので獣医さんに電話して「新生子牛は母乳なしで何日生きられるか?」を尋ねたところ「2日は大丈夫」との答え、そして「もしかして、まだお腹の中に居るのでは」と急遽往診してくださいました。果たして、牛赤子はまだ、母牛のお腹から出てきておらず、帝王切開しましたが残念ながら死産でした。その帝王切開手術の最中に横のもう一頭の母牛のお産が始まり、見事に子牛を出産しました。出産した母牛は生まれた赤子牛をペロペロ舐めて、数分後には立ち上がらせ、そして初乳を飲ませました。

死産の落胆と出産の喜びを同時に味合わせてもらいました。

これからも牛達にいろんな事を学ばせてもらうことと思います。

できうる限り最高の環境をつくることが、「牛への感謝と尊厳の証」と考え、これからもあか牛飼育に真摯に取り組んでいきたいと思います。

 

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柵で囲われた「走る豚」圃場

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ドリームグループ(オーガニック九州産直クラブ/ナチュラナチュラル/ロンドンナチュラルグループ)代表の吉田登志夫です。

「走る豚」武藤さん一家は『日本政府の豚熱(コレラ)対策要請』で大変。

日本政府は昨年、「豚熱(コレラ)と新型アフリカ豚熱(コレラ)の対策要請ー豚飼育舎を柵で囲め」を出しました。菊池の中山間地で放牧による元気な豚飼育を続けている武藤さん一家は、この政府要請により大きな負担を強いられることになります。要請には「ウイルスを持込むイノシシとの接触を防ぐ為に飼育場周辺を柵で囲うよう」とありますが、豚小屋(工場)に閉じ込めて肥育する一般の飼育と違って、「走る豚」は約300坪・15頭ずつのグループ圃場が山間に30箇所あり、全部あわせると9000坪(ドーム球場2つが入るくらい)の旧段々畑や栗・梅・ドングリ林の中を圃場毎に電柵で囲って放し飼いしています。この広い圃場をすべて鉄柵でさらに取り囲めという政府要請は、走る豚飼育方法に大きな負担を強います。結局、武藤さん一家は何度も行政を掛け合って、圃場を大きく2地域に区切り、その周りを鉄柵で囲むという方法で「政府要請」と折り合いをつけました。

産直クラブと走る豚:武藤さん一家との出会いは17年前のクラブ創立期に遡ります。菊池のシリカ酪農法で牛乳を産出する吉井さんと知り合い、その人繋がりで武藤さん一家と「走る豚」に出会いました。畑で走っている豚を初めて見たときは衝撃で、即座に「走る豚」のネーミングが浮かびました。それまでは「ギュウギュウ詰の狭いゲージの中で育つ豚」しか見た事がなかった私たちは「この健康な豚飼育環境こそが、産直クラブが目指す自然で健康な食べものづくりの象徴だ」と確信し、食べてみると「脂身が美味しく、イベリコ豚を超える最高の味」であることに2度ビックリしました。「走る豚」は自然の中を自由に走り回り、菊池の芋などの農産物や季節・場所によっては山のドングリ・栗なども食べ、獣匂い消しに炭を餌に混ぜ、更にレンゲ水(活性水)を飲み水にして健康に育てられている世界でも希少な豚です。これだけの環境では美味しいのは当然だけど、武藤さん一家の努力は大変なものです。

(ちなみにアフリカ豚熱(コレラ)は「201810月に北京から新千歳空港に到着した旅客の携帯品の豚肉ソーセージ(1.5kg)に遺伝子検査(PCR)を実施したところ陽性が出たということ。新型であるアフリカ豚熱(コレラ)はアジア・韓国まで広がってきており日本侵入は時間の問題だそうで、これはワクチン開発ができてなく9割死亡率だそうです。武藤カツノリさんは「走る豚は抵抗力あり、ウイルスが来ても発症しない自信はあるが、感染発覚した時点で法律的にアウト(全殺処分)」だと述べられていました。人間界の新型コロナ感染とよく似ている構造ですね。)

日本政府/農水省は「柵で囲う要請」の次には、ウィルス感染防止策として「放牧禁止令」を出そうと準備しています。自然界から来たウィルス感染防止の為に、最も自然な豚飼育を禁止するなどとんでもない政策です。今のところこの「放牧禁止令」は有機農業者などの反対によって一旦、ストップとなっているようですが、農業の工業化を目指す日本政府のやることには注意&監視が必要です。

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武藤さん一家

熊本地震から4年 菊池農場の繁殖牛舎再建

ドリームグループ(オーガニック九州産直クラブ/ナチュラナチュラル/ロンドンナチュラルグループ)代表の吉田登志夫です。

熊本地震から4年、菊池農場は牛舎2棟全崩壊から繁殖牛舎を再建し、頑張っています。

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4年前、地震で全崩壊した牛舎

20164月の熊本地震で牛舎2棟が全崩壊し、農場経営は大きな痛手を負いました。地震で牛2頭死亡、数頭負傷、手持ち牛舎が使えなくなり約70頭のあか牛を仮牛舎にギュウギュウに押込みました。母牛繁殖で仔牛をとり24ヶ月肥育するという「一貫飼育法」の菊池農場では、突然の被災に飼育環境牛が悪化し、十分な給餌が行き渡らずに大きく成長してくれず、苦しい台所となりましたが、昨年春に再建した新しい繁殖牛舎に母牛が入り、昨冬には15頭の仔牛が生まれてくれました。育てさせていただくからには「出来る限り最高の環境で育てる」というアニマルウェルフェア(動物福祉)の考え方を学びながら、自家生産の無農薬イタリアン牧草や菊池川河川敷草などの沢山の草を食べさせて、牛本来の赤身がおいしい牛肉として消費者の皆さんにお届けしていきます。

ドリームグループが菊池農場を立ち上げたのは、産直クラブをスタートさせたのとほぼ同時期の17年前に遡ります。「生産者と消費者を対等な関係でつなぐ産直クラブをつくろう」と夢広場店舗を基盤に宅配事業をはじめたと同時に、「僕たち自身も生産することの大変さと大切さを身につけよう」と農場運営をグループとして乗り出しました。その頃知り合った「走る豚」の武藤計臣さん・やまあい農場の同じ山中に土地と家の売物があり、そこを産直クラブ会員さんから出資してもらった「食べもの夢基金」で購入し、「手を挙げたクラブ役員」が一人で入植して菊池農場の歴史は始まりました。

最初に「牛」の肥育をやってみました。牛の飼育について、ずぶの素人で右も左もわからない私たちは、近くの牛農家さんにお願いして研修に通わせて戴きました。それから小さくて飼いやすいということでジャージー牛(花子)をお世話してもらい、恐るおそる見様見真似で飼育しました。そろそろ出荷時期かな?、と20ヶ月が経った頃、農場スタッフから「大変です、花子の目が見えないみたいです」と緊急報告が入りました。慌てて、教えてもらった牛農家さんに聞くと「ああ、それは普通だよ。太ってお腹にサシ霜降り(脂肪肝)をつくるためにビタミンAを食事制限するのでビタミンA欠乏症になって目が見えなくなるんだよ」とのこと、私たちにとっては青天の霹靂!びっくり仰天でした。

それから私たちは「産直クラブが育てる牛はどんな牛か?」の模索と牛飼育の勉強がはじまりました。「牛は元々、草食動物で、太らせ霜降りをつくるための日本畜産の穀物主体給餌法は牛の本性には合わない給餌法であることに気づき、たどり着いたのが「肥後のあか牛」でした。熊本地方で歴史的に阿蘇山系で放牧されて来、その頃は「絶滅危惧種」として細々と飼育が続けられていた「あか牛」こそが「牛本来の餌であるを食べて育ってくれる産直クラブが望む牛」であると確信し、以来15年、肥後あか牛飼育に励み、「牛本来の赤身がおいしい健康あか牛」をお届けしていきます。

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菊池下川原の繁殖牛舎

 

コロナ対策 ドイツ・メルケル首相の言葉 食品流通という社会的事業

ドリームグループ(オーガニック九州産直クラブ/ナチュラナチュラル/ロンドンナチュラルグループ)代表の吉田登志夫です。

コロナウィルス汚染での緊急事態宣言が出される中、ドリームグループ 各部署もテレワークや感染防止策に各現場は頑張っています。

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会員さんに毎週食品を届ける配送スタッフ

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店舗でもソーシャルディスタンスを案内

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店舗レジでは手作りの防護カーテンで

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配達・店舗を支える物流センター、ここが止まれば流通が止まる。

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企画部、カタログ制作部、経理・総務部は出来るだけテレワークに。

スタッフの皆さんにはドイツのメルケル首相の言葉を添えて、食品流通の業務を継続していく旨のお願いを出しまた。

 

ドリームグループ で働くスタッフの皆さん

「コロナウィルス関連 緊急事態宣言を受けて」

                        202048日ドリームグループ 代表 吉田登志夫

 日々、コツコツと誠実に仕事を重ねていただき、ありがとうございます。

 昨日47日に政府から「コロナ関連 緊急事態宣言」が出されましたが、ドリームグループとしての当面の対応を以下のように考えています。

◯業務は、コロナ汚染拡大防止対策をできるだけ講じた上で、通常営業を維持継続します。

・最前線の店舗、配送とそれを支えるバックの物流仕分け・卸・企画・製作・経理などの業務を止める事は、グループの経営継続ができなくなる事を意味します。

◯会社としては、店舗と宅配のお客様対応以外の来客・訪問対応は自粛する事とします。

◯スタッフ各自は、場面場面での手洗いをこまめに行ってください。

◯お客様対応時には、マスク着用をお願いします。

◯公共交通機関を利用しての通勤は避けたいので、出来る限り自力での通勤をお願いします。難しい場合は部署の責任者に相談してください。

グループのロンドンnatural natural の2店舗は、医療関連以外の事業所が閉鎖されているなかでも食品流通の営業を継続しており、スタッフは「キーワーカー(大切な労働者)」と呼ばれて社会的にリスペクト(尊敬・尊重)を受けおり、スタッフが食品流通の仕事を継続できるように、その子ども達は休校の学校でも特別に預かってもらえています。この様な事態のなかでは、生産者と消費者の間に立って大切な食べ物を届ける私たちの仕事の社会的役割の重要さを改めて認識します。

 ドイツのメルケル首相は「普段めったに感謝されることのない人々にも感謝の言葉を送らせてください。スーパーのレジ係や、商品棚を補充してくださる方々。彼らは現在、最も困難な仕事の1つを担ってくれています。仲間である市民のために、日々働いてくれて、私たちの生活を支えてくれてありがとうございます」と語っています。

 今後、スタッフの皆さんの中でコロナ感染する方が当然出てくる事も考えられますが、お互いに気軽に相談し合いながら、支え合いながら越えて行きましょう。

また、新しい状況の変化などがあれば、皆さんへ報告を差し上げます。何か困った事や不安な事があれば、部署の責任者に申し出てください。

皆さんと健康な生活と仕事を継続できるよう、力を合わせていきましょう。

 

ロンドンからの報告ーコロナ拡大と店舗営業

ドリームグループ(オーガニック九州産直クラブ/ナチュラナチュラル/ロンドンナチュラルグループ)代表の吉田登志夫です。

コロナウィルスで厳しい事業所閉鎖や外出制限措置が取られいるロンドンからグループ店舗natural naturalの様子の報告が来ました。

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ロンドン natural natural フィンチリー店

ロンドンでは現在、医療と食料品関係以外の事業所は閉鎖されています。日本食品&オーガニック食材を販売しているnatural naturalフィンチリー店&イーリング店は通常通りの営業をしており、絶え間なくお客様が来店されています。店ではお米や麺類、納豆などが通常の2−3倍売れており、お弁当・惣菜もよく出ているそうです。

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お米は在庫充分です。

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お弁当惣菜もよく出てます。

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オーガニック卵も農場から入ってきてます。

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日本直輸入野菜もなんとか繋いでますが、今後は不明

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久留米・中村さんの人参は入荷待ち

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麺類、カレーなどが品切れしてます

送られてきた棚の写真を見ると麺類やお菓子の棚が空になっています。去年から九州野菜を空輸で毎週出していて、とても良く売れてますが、コロナの影響で日本からのフライトが次次とキャンセルになり、担当者は頭を抱えています。産直クラブや福岡のnatural natural 店舗で人気の中村さんの人参は入荷待ちです。レジでは感染に配慮して現金は扱いません、すべてクレジットカードのみで支払いをしていただいてます。

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支払いはクレジットカードオンリーです。

ロンドンでは医療や食品流通に携わる労働者は「キーワーカー」とリスペクト(尊重)され、学校が休校になってもキーワーカーの子供たちは学校で別途預かって貰えるとのことで、学校に通う子どもがいるスタッフはとても助かっているようです。鍼灸整体アロマのナチュラルクリニックは緊急事態宣言が出されてからは休業してますが、イギリス政府は雇用者賃金の80%を補償するとしています。自営業者も保証されるそうで、とても助かりますね。

イギリスでは50−60%の人までコロナ感染が広がって、コロナウィルスと人間社会が共存する形で落ち着くと言われているようです。日本でも徐々にコロナ感染が広がってくるでしょう。日本各地の産直クラブや店舗でも、今後スタッフが感染することは当然有り得る事と想定して、「その時に人々の生活を支えるキーワーカー組織としてどう営業を継続するか」を考え、その日に備えたいと思います。