九州産直クラブ 社長のblog

九州産直クラブ社長 吉田登志夫の公式ブログです。九州産直クラブの商品や生産者、九州の野菜、肉、魚などの内容や、イギリスのオーガニック市場、フェアトレードなど、様々な情報をお届けします。

あか牛仔牛:雪の死亡と教訓と決意

ドリームグループ(オーガニック九州産直クラブ/ナチュラナチュラル/ロンドンナチュラルグループ)代表の吉田登志夫です。このところ、「牛飼日記」が続きます。

牛舎がある菊池は、もう春爛漫です。特に僕らが拠点としている旭志村は水仙と菜の花と桜が満開です。

でも桜が散る前に、下痢をしてウィルスに感染しミルク哺乳をしていた仔牛の死亡について報告しておかねば・・・。

菊池に初雪が降った2月半ば、下痢をして繁殖舎の母牛から離して肥育舎に移して治療とミルク哺育をしていた3頭仔牛の中の一番チビが死んでしまいました。

僕は初めての死亡処理をしたので報告と写真を記します。

朝餌やり時に、前夜まで点滴治療をしていたその子の死亡を発見し、久川さんに「出生届け書類(生後1ヶ月)」を作ってもらい、死体と一緒に畜産協同組合中央支所に持っていき、その子が生きている時につけるはずの耳標(全ての牛に必須)をつけてもらい、次に「死亡処理願い」を交付してもらい、七城の屠場裏の「タンパクミール工場」に運んで「廃棄処理」してもらいました。処理費6500円でした。

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隔離・点滴治療していた仔牛

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つけるはずであった耳標をつけてあげました。

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タンパクミール工場で処理

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その朝は旭志村には初雪が

その朝の菊池は初雪がうっすらと積もっており、まだ名前がなかった死んだ仔牛には「雪」という名前をつけてあげました。

 この子の死亡からずっと考え、決意したことがあります。

それは「仔牛は母牛が育てる」という原則を持つということです。

風邪をひいて下痢などで体調が悪くなった仔牛は獣医さんに診てもらって注射などを打ちますが、基本人間がやれるのはここまでで、母牛に事故などがない限りは、仔牛だけを隔離して人間がミルク哺乳などで育てるのは僕ら人間の思い上がりではないかと感じています。僕らには仔牛を育てる事はできない、仔牛は母牛のみが母乳で育てるものということを感じています。仔牛が病気になっても、母牛の側において、徹頭徹尾、母牛に頼りながら仔牛の回復をはかるということが僕ら菊池農場の畜産の姿ではないかな。乳牛のホルスタインなどは仔牛が産まれると即日に母牛から離してミルク哺乳に切り替えるそうです。これは搾乳や次の発情・種付けなどの都合上、そのように設えられています。でも、菊池農場の草給餌主体で育てるあか牛飼育では、「生まれて3ヶ月まではどんな事があろうと仔牛は母牛の側で育ててもらう」ことを原則としたいと思う。それが自然であり、当たり前であり、それでしか仔牛は育たないと思います。

仔牛が体調を崩したら母牛につけたまま治療をして、もし、隔離が必要な時は母牛も一緒に隔離する。そのような考えを原則として、それでダメな時もあるだろうけど、その時はそれを受け入れる。母牛は仔牛授乳を1週間も止めると、もう乳は出なくなるそうです。仔牛は片時も母牛から離してはならない、というのが雪死亡を受けての僕の教訓です。

僕らがしなければいけないことは、いつも牛舎を清潔に掃除して牛にとって健全な環境をつくり、おいしい草を主体とした餌を十分に給餌し、牛にとっての(出来るだけの)最高の生活環境をつくる。あか牛を飼わせていただく限り、「ケアが十二分に行き届いた福祉環境で育てる」という考え方を仔牛:雪の死亡を受けて心の底に刻みました。