九州産直クラブ 社長のblog

九州産直クラブ社長 吉田登志夫の公式ブログです。九州産直クラブの商品や生産者、九州の野菜、肉、魚などの内容や、イギリスのオーガニック市場、フェアトレードなど、様々な情報をお届けします。

母牛モリミツ

ドリームグループ(オーガニック宅配:九州産直クラブ/オーガニックスーパー:ナチュラナチュラル/菊池農場/英国ロンドン日本食&オーガニックスーパー:ナチュラナチュラル)代表の吉田登志夫です。

農場であか牛を飼っていると、多くの「生老病死」に向き合わなければいけません。

昨日は朝、繁殖母牛約30頭の中で一番歳上のモリミツが立ち上がれなくなっていました。最初に見たときは完全に横たわっており、死んだかな?と思いましたが、しばらく顔や首をさすってあげていると首を上げてくれました。獣医さんに連絡すると「もうダメだろうから屠畜の手配をした方が良い」とのことでした。モリミツは3つに分けた繁殖舎の3枠に入っており、同じ枠の約10頭の中で一番弱く、いつも餌をもらうときは最後に餌場のスタンチョン(首を挟んで繋ぎ止める留め金)に入ります。ある程度餌を食べさせてスタンチョンをはずすとすぐに他の牛から舎外に追いやられます。牛の世界では強弱がはっきりしていて、強い牛から順に餌場のスタンチョンに入ります。獣医さんから、モリミツは痩せすぎで栄養がある配合飼料を沢山食べさせて、と指導を受けて、モリミツだけは長くスタンチョンに繋いで多く餌を上げており、この頃は随分と強くなってきたところでした。

牛は死亡してしまったら約3万円コストで廃棄処理します。生きていたら屠畜して、肉になって、売上になってくれます。モリミツは僕がずっとさすっている間に息をつないでくれて、なんとか屠畜に回せました。菊池農場は経済動物を飼っているのですから、最後は肉=売上になってもらうように願います。牛一頭はその状況によって30万円から120万円くらいの肉=売上になってくれます。

一般に牛の寿命は1520歳前後と言われまています。あか牛の繁殖母牛は15歳位まで出産を繰り返し、その後、肉牛として再肥育して屠畜=肉にします。モリミツも約10頭の子牛を産んでくれました。繁殖母牛とは違って、肥育用の牛は基本24ヶ月で屠畜します。いつ屠畜するかは牛飼いが決めます。牛を送り出すときは、いつも「ありがとう」と想います。で、飼っているときは可能な限り最高の環境で健康な状態で過ごせる様に努力したい。何にでも寿命がある。健康に暮らすことは、牛にとっても幸せであると思っています。

モリミツの死因は、わかりません。年齢からくる寿命であるのか、何かの疾患があったのか?僕は、もしかしたら前日に食べさせた古すぎて発酵して黒くなった餌に原因があったかもしれないとも思っています(でも他の牛は元気です)。餌は、少しでもロスがないように食べさせたいという経営者の欲が災いしたのかもしれない。今後は、古くなった餌は廃棄するようにしよう。

モリミツはもう立ち上がることができなかったので、運搬車のウィンチワイヤーで引っ張り上げられて屠場へ運ばれました。

f:id:sancyoku:20201116104526j:plain

顔を上げてくれたモリミツ

f:id:sancyoku:20201116112737j:plain

屠場へ運ばれるモリミツ