九州産直クラブ 社長のblog

九州産直クラブ社長 吉田登志夫の公式ブログです。九州産直クラブの商品や生産者、九州の野菜、肉、魚などの内容や、イギリスのオーガニック市場、フェアトレードなど、様々な情報をお届けします。

11.1 パレスチナ国際連帯フェスin福岡

ドリームグループ (九州産直クラブ/ナチュラナチュラル夢広場&ロンドンナチュラナチュラル)代表の吉田登志夫です。

世界各国の生産者とフェアトレード交易を行なっているグループの貿易部門会社ジェイネットが、11月1日(金)に福岡市天神・親富孝通りの有名なクラブにパレスチナガザ地区の「MC GAZA」をリーダーとするラッパーグループ3人を招いてヒップホップの音楽イベントを開催します。日本側の出演者は「Kダブ シャイン」という日本ヒップホップ界のレジェンドと言われるラッパーと「DELI」という社会派ラッパーです。DELIさんは原発放射能問題に取り組む千葉・松戸市市会議員でもあります。

ドリームグループの貿易部門を担当しているジェイネットはパレスチナ農民を応援しようとこの15年に渡ってパレスチナオリーブオイルとオリーブ石鹸をパレスチナから輸入し、年間約3千本を産直クラブや夢広場/ナチュラナチュラル店舗で販売していますが、そのつながりでパレスチナの事をもっと若い世代にも知ってもらおうと音楽交流イベントを企画しました。

ラップはリズミカルな演説、ストリートの言葉を組み込んだ歌唱法で、ヒップホップはそのリズム、セリフを同じ調子で繰り返すリズミカルな音楽の事です。パレスチナは1947年以来アラブ・パレスチナ地域に覆いかぶさるようして作られた「イスラエルと言われる人工国家」の下敷きになっており、70年以上も土地と生活を「イスラエル」に占領され続けています。圧倒的な軍事力で押さえつけられ、壁の中に封じ込められている兵器を持たないパレスチナの若者達は、ラップ(音楽)を武器にして毎日不屈に闘い続けています。

2000年パレスチナ西岸地区の田舎からネットで呟くヒップホップの覆面歌手ドン・ジュアンが登場しました。占領下の生活の死活的な困難さ、イスラエルに対して溜まっている政治的な鬱屈を全部ラップで歌います。そのラップがまず、チュニスに飛び火し、そこで似たようなラップシンガーが出てきて反独裁のヒップホップを歌い上げました。それが更にカイロに飛び火して膨大なヒップホップの高揚を作り出し、シリアやリビア民主化を求める動きにも広がりましたーこれが「アラブの春」でした。連なる政変では、歌や詩やグラフィティなどのアートが座り込みやデモの現場から自然発生的に登場し、それがラップを通じて拡散していきます。若年層の失業率は高く、政情不安や古い価値観との軋轢など、さまざまな生きづらさを抱えた若者たちにとって、高価な機材や演奏技術を必要とせず、路上でもインターネット上でも発表の場が見つかるHIPHOPは、自分たちが連帯し、声を社会に届ける格好のツール(道具)となりました。今、香港で自立を求める若者たちの「覆面デモ」もこの流れの続きにあり、今回福岡にやってくるラッパーのMC GAZAはその流れの真ん中に立ち、世界にラップを発信しています。

私が初めてパレスチナにボランティアとして入ったのは今から約40年前でした。奪われた土地を取り返そうと闘い続けるパレスチナの老若男女に心を打たれ、エルサレムベツレヘム・ナザレなどの土地を走りまわりました。その頃は、「当然、世界は良い方向に動くはずである」と未来を信じていました。しかし、事態は全く好転せずに、1982年にはベイルートパレスチナ難民キャンプで3000人もの非戦闘員が殺された「サブラ・シャティーラの虐殺」の現場に私は遭遇してしまい、以降もパレスチナ人の受難は続き、私のパレスチナ通いも続いています。

このイベントは「福島―沖縄―パレスチナ  壁を越えよう」とのサブタイトルをもち、福島・郡山と沖縄・辺野古でも同様の音楽イベントが開催されます。昔、「親不孝通り」をフラフラと彷徨った経験がおありの方もおられるかと思います。「ヒップホップって何?」と不思議がられる方もおられるかと思います。でも、ちょっと覗いてみようかなと思われたら、勇気を出していらしてください。きっと未知の世界が楽しめます。

そうそう、お子さんやお孫さんでラップに興味を持ってそうな方がおられたら「Kダブ シャインって知ってる?」と聞いてみてください。必ず「えーっつ、凄い、そんな有名なラッパーが来るんだ。見に行きたい」という反応が返ってきますよ。

見てみたいと思われた方は当日受付で産直クラブブログを見たと言ってください。前売り価格三千円で入場いただきます。

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ヒップホップは壁を越える

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KダブシャインとDELIも共演

 

那珂川キッチン 就労支援センターからの視察

ドリームグループ (九州産直クラブ/ナチュラナチュラル夢広場&ロンドンナチュラナチュラル)代表の吉田登志夫です。

ドリームグループは自然で安全な食べ物の生産・加工・流通を自分たち自身の手でつくっていこうとする運動と事業のネットワークです。そのグループ内の手づくり惣菜部門に那珂川キッチンがありますが、9月20日に福岡市内にある障がい者就労支援センターの就労現場責任者の方が5人で視察に来られました。視察の目的は、那珂川キッチンの仕事が障がい者の皆さんの労働に適しているかどうかの可能性を探るというものです。那珂川キッチンはこれから「無添加おせち」の製造の季節に入り、沢山の人手が必要となります。普段でも製造現場は慢性的な人手不足です。工場では、安定した働き手があるととても助かります。一方、障がい者就労支援の現場では、障がい者が生き生きと働ける仕事場を求めています。今回の視察で、那珂川キッチンと就労センターが上手くマッチングされていけばと願います。

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那珂川キッチンは油山の麓にあり、ミネラルを多く含む地下原水がおいしいと周辺には多くの市民が水汲みに集まります。

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障がい者就労支援現場の責任者の方々

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キッチンの作業手順をしっかりと見ていただきました。

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那珂川キッチンでは化学調味料など無添加の美味しい手作り惣菜が調理されています。

菊池農場 あか牛新繁殖牛舎

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菊池農場 新築繁殖牛舎

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草や稲わら主体の粗飼料を食べる母牛たち

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母子牛が伸び伸びと過ごせる新牛舎

ドリームグループ (九州産直クラブ/ナチュラナチュラル夢広場&ロンドンナチュラナチュラル)代表の吉田登志夫です。

熊本地震で崩壊した2棟の菊池農場の牛舎が、新しく広々とした運動場付きの新繁殖牛舎として再建された様子をお届けします。2016年の熊本地震で2棟の牛舎が崩壊して3年が経ちますが、昨年多くの方々のご支援で新しく繁殖牛舎として建て直され、今年に入って徐々に母牛を移動し、子牛も生まれ始めました。

「より自然な形で牛を育てよう」というのが菊池農場の牛飼育方針です。牛本来の餌である草を多く食べさせ、濃厚飼料と多投してつくるサシ(脂)でなく、赤身がおいしい肉をつくろうと地元熊本の伝統あるあか牛の飼育を始めてから10年以上が経ちます。今では、繁殖から肥育まで一貫生産の体制をつくりあげ、「健康あか牛」というブランドで産直クラブや全国の自然食流通組織に出荷しています。この繁殖牛舎では26頭の母牛と17頭の子牛が生活しています。菊池は暑い夏を越えて、これから秋、冬に向かいます。牛たちにとっては過ごしやすいいい季節に入っていきます。

 

「巨星逝く」 興農ファーム前代表:本田廣一さん葬儀

ドリームグループ(産直クラブ&夢広場/ナチュラナチュラル)社長の吉田登志夫です。

5月31日北海道・標津の興農ファーム前代表:本田廣一さんが亡くなりました、70歳。5月はじめに東京出張中に倒れられ、釧路で入院、全身のリンパ節が腫れ、ご家族友人の看病の中で逝かれたそうです。死亡診断は「発症不明の癌」ということで、6月2日お通夜3日葬儀が中標津町で行われました。

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お通夜にはご家族親戚とともに長年有機農業の発展の夢をともにした旭川当麻の瀬川さんや北竜町農協前組合長の黄倉さん、元農水省官僚の栗原さん、名古屋オーガニックファーマーズの吉野さんが駆けつけられ、日付を超えて本田さんを褒めたり貶したりで酒盛りをしました。

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葬儀には沢山のお花が添えられ、若き日の本田さんの闘いの出発点となった日大闘争の仲間からの献花もありました。

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本田さんは当時在籍していた日本大学獣医学部)で展開された全共闘運動(日大闘争)で逮捕投獄され、その後北海道で農場を建設する方針をたて、その資金づくりのために1971年に東京でビル清掃会社をつくり、貯めた資金で1976年に知床に近い標津で興農塾を社会変革の根拠地として立ち上げ、農業を開始されました。

 私が本田さんを知ったのはグリーンコープ時代に「なんとも固い牛肉」と評されたYBB(ヤングブルビーフ)を食べたときでした。本田さんは輸入濃厚飼料を食べさせてブクブクと太らせる畜産に抗し、地域の粗飼料で丈夫な胃袋をつくった健康な牛を育てる技術を練り上げ、画期的なYBBビーフを心ある消費者組織に供給して来られました。私は本田さんに農業のことを沢山教えてもらいました。とくに牛を飼う基本的な考え方や自家飼料の作り方などの話をよく聞き、熊本の菊池に農場を拓くときには随分とお世話になりましたが、未だ足元にも及びません。本田さんの畜産と畑作の「有機複合農業理論」は農本思想にもとづく壮大な理論です。 しかし、今の日本でそのような有機複合農業をやっていくのは本当に大変です。コツコツ継続する意思の強さと信頼できる仲間が希望でしょうか。

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葬儀の日の朝早く、知床岬まで車を走らせました。私は標津の興農ファームには20数回足を運びましたが、農場以外にはどこにも行きませんでした。初めて見る知床の岬は「限りなく透明に近いブルー」でした。

 

菊池農場:熊本地震被災からの牛舎再建

九州産直クラブ社長の吉田登志夫です。

1昨年4月の熊本地震で菊池農場は牛舎2棟全壊の被害を受けました。

その被災した牛舎を「あか牛繁殖牛舎」として再建しようと青写真が出来上がり、いよいよ資金集めに入りました。5月初めには九州産直クラブとオーガニックハウス夢広場の会員さんや生産者さんへ農場再建基金募集のご案内を出しました。

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5月8日には新牛舎設計者の三原さん、プロデュース担当のジェイネットNEXTの藤木さん、建築担当の立木工務店会長の立木さん、菊池農場社長の久川さん、旧くまもと産直クラブ社長の伊東さんが集まり、今お借りしている今村牛舎と新建設予定地の2箇所で打ち合わせをしました。

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今村牛舎では基本的な牛舎の構造を打ち合わせし、新牛舎予定地では建築場所の確定を行いました

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お昼は泗水町蕎麦屋さんで蕎麦が茹であがるまでの間に設計図を広げて、細かな打ち合わせです。

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その日の打合せに顔を出してくれた伊東さんは現在産直クラブの現役を引退し、時々菊池農場若杉さんの野菜の出荷の手伝いをしてくれています。伊東さんはヘルプバングラデシュコミュニティ→シャプラニール→グリーンコープ→九州産直クラブ立ち上げ→くまもと産直クラブ立ち上げといった経歴で、産直クラブのソールパーソンです。この日は久し振りに会うあか牛との会話を楽しんでおられました。

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