九州産直クラブ 社長のblog

九州産直クラブ社長 吉田登志夫の公式ブログです。九州産直クラブの商品や生産者、九州の野菜、肉、魚などの内容や、イギリスのオーガニック市場、フェアトレードなど、様々な情報をお届けします。

 

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柵で囲われた「走る豚」圃場

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ドリームグループ(オーガニック九州産直クラブ/ナチュラナチュラル/ロンドンナチュラルグループ)代表の吉田登志夫です。

「走る豚」武藤さん一家は『日本政府の豚熱(コレラ)対策要請』で大変。

日本政府は昨年、「豚熱(コレラ)と新型アフリカ豚熱(コレラ)の対策要請ー豚飼育舎を柵で囲め」を出しました。菊池の中山間地で放牧による元気な豚飼育を続けている武藤さん一家は、この政府要請により大きな負担を強いられることになります。要請には「ウイルスを持込むイノシシとの接触を防ぐ為に飼育場周辺を柵で囲うよう」とありますが、豚小屋(工場)に閉じ込めて肥育する一般の飼育と違って、「走る豚」は約300坪・15頭ずつのグループ圃場が山間に30箇所あり、全部あわせると9000坪(ドーム球場2つが入るくらい)の旧段々畑や栗・梅・ドングリ林の中を圃場毎に電柵で囲って放し飼いしています。この広い圃場をすべて鉄柵でさらに取り囲めという政府要請は、走る豚飼育方法に大きな負担を強います。結局、武藤さん一家は何度も行政を掛け合って、圃場を大きく2地域に区切り、その周りを鉄柵で囲むという方法で「政府要請」と折り合いをつけました。

産直クラブと走る豚:武藤さん一家との出会いは17年前のクラブ創立期に遡ります。菊池のシリカ酪農法で牛乳を産出する吉井さんと知り合い、その人繋がりで武藤さん一家と「走る豚」に出会いました。畑で走っている豚を初めて見たときは衝撃で、即座に「走る豚」のネーミングが浮かびました。それまでは「ギュウギュウ詰の狭いゲージの中で育つ豚」しか見た事がなかった私たちは「この健康な豚飼育環境こそが、産直クラブが目指す自然で健康な食べものづくりの象徴だ」と確信し、食べてみると「脂身が美味しく、イベリコ豚を超える最高の味」であることに2度ビックリしました。「走る豚」は自然の中を自由に走り回り、菊池の芋などの農産物や季節・場所によっては山のドングリ・栗なども食べ、獣匂い消しに炭を餌に混ぜ、更にレンゲ水(活性水)を飲み水にして健康に育てられている世界でも希少な豚です。これだけの環境では美味しいのは当然だけど、武藤さん一家の努力は大変なものです。

(ちなみにアフリカ豚熱(コレラ)は「201810月に北京から新千歳空港に到着した旅客の携帯品の豚肉ソーセージ(1.5kg)に遺伝子検査(PCR)を実施したところ陽性が出たということ。新型であるアフリカ豚熱(コレラ)はアジア・韓国まで広がってきており日本侵入は時間の問題だそうで、これはワクチン開発ができてなく9割死亡率だそうです。武藤カツノリさんは「走る豚は抵抗力あり、ウイルスが来ても発症しない自信はあるが、感染発覚した時点で法律的にアウト(全殺処分)」だと述べられていました。人間界の新型コロナ感染とよく似ている構造ですね。)

日本政府/農水省は「柵で囲う要請」の次には、ウィルス感染防止策として「放牧禁止令」を出そうと準備しています。自然界から来たウィルス感染防止の為に、最も自然な豚飼育を禁止するなどとんでもない政策です。今のところこの「放牧禁止令」は有機農業者などの反対によって一旦、ストップとなっているようですが、農業の工業化を目指す日本政府のやることには注意&監視が必要です。

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武藤さん一家