九州産直クラブ 社長のblog

九州産直クラブ社長 吉田登志夫の公式ブログです。九州産直クラブの商品や生産者、九州の野菜、肉、魚などの内容や、イギリスのオーガニック市場、フェアトレードなど、様々な情報をお届けします。

田植えとジャンボタニシ食害

ドリームグループ(オーガニック九州産直クラブ/ナチュラナチュラル/ロンドンナチュラルグループ)代表の吉田登志夫です。

菊池農場では農薬や化学肥料は勿論、有機肥料なども一切使わない自然農法による「菊池農場自然米」を栽培し、九州産直クラブ宅配やナチュラナチュラル店舗で会員さんにお届けしています。中には化学物質過敏症などのお子さんなどで「この自然米しか食べれない」と年間予約をして購入してくださる方もおられます。一部は酒米種を植えて、山鹿町の千代の園酒造さんで自然酒「菊池川」にしてもらってもいます。

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菊池農場の自然米田んぼ

その菊池農場自然米の田植えが今年も7月初めに無事完了してホッとしていたところに、その直後の大雨のせいで「苗のジャンボタニシ食害」に遭い、急遽、産直クラブスタッフ10人が7月18日土曜日早朝5時から福岡センターを出発し、タニシに食べられた箇所の苗の補植を行ないました。現地6時半着から昼までかかっておおよその補植が終了、菊池温泉に浸かって帰社、スタッフ達は心地よい疲れを感じていたようです。

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産直クラブスタッフによる補植作業

ジャンボタニシ外来種で学名は「スクミリンゴガイ」、用水路や水田周辺に繁殖し、西日本一帯の田植え直後の柔らかい稲を根こそぎ食い荒らして問題になっています。日本には食用として、1981年に東南アジア方面から輸入されてますが、全国に500カ所もの食用養殖場ができるなど、当初は新たな水産物として期待されていましたが、味が日本人好みではなかったことや広東住血線虫の感染源にもなることから、商品価値が上がることはなく、養殖場から逃げ出したり、廃棄されて野生化した貝が繁殖し、田植え直後の稲を食い荒らすようになりました。以前は冬の寒さで死んでしまってましたが、温暖化の影響で越冬する個体が増え、被害が拡大しています。昨今のゲリラ豪雨などの多量の雨水は、貝の移動手段ともなり、水路で育った大型の貝が田んぼに流れ込んでくるケースが増え、今回の食害被害も大雨が影響しています。貝は水中でしか稲を食べることができないので、貝が稲に寄りかかれないように、田植え直後はできる限り浅い水管理が必要ですが、大雨による増水は貝の活動をより活発化させています。田植え後2〜3週間ほどたつと苗は固くしっかりとしてくるので貝に食べられる心配はなくなります。逆にその頃になると貝は雑草を食べてくれるの、一時は農薬の代わりとして重宝された頃もあります。しかし、今は越冬して初期の苗を食べてしまうので、ジャンボタニシを駆除するために「メタアルデヒド粒剤」、「チオシクラム粒剤」、「燐酸第二鉄粒剤」などの農薬がドローンで空中散布されたりもして、これも困ったことです。ジャンボタニシの卵は、鮮やかなピンク色で初めて見た方は一様に驚きますが、自然界ではピンクは警告色の意味合いもあり、卵には毒もあるので鳥などに捕食されないようです。

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ジャンボタニシ

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ジャンボタニシの卵

農薬を使わない菊池農場の自然農法では、当面はジャンボタニシとの闘いは続きそうです。